相続税とは?

1.相続税とは

相続税とは、被相続人(亡くなった方)から相続・遺贈・死因贈与などによって財産を取得した場合、その取得した財産に対して課される税金です。

また、各相続人・受遺者等は、相続開始を知った日から10か月以内に、相続税の申告を行う必要があります。

※なお、2021年の税制改正により、相続税申告書への押印が不要となりました。

一般的には相続財産額に応じて相続税が課されますが、一般的には相続財産が高額であればあるほど、相続税も高くなります。

(参考:「相続税の税率」(国税庁)

また相続財産の割合に不動産が多い場合や事業を経営していて株価が高くなっている場合には、相続した現金では納税できず納税資金を別途相続人で用意しなければなりません。

生前から税理士等に相談することで、納税資金の確保や相続税の節税が可能になります。予想外の納税で困らないためにも、生前に行える節税対策などを行っておくことが望ましいです。

2.相続税は財産を相続したらかかる?


では、相続税は相続をした全員の相続人にかかるのでしょうか。答えはノーです。

相続税がかかるのは、課税対象となる遺産の総額が、相続税の基礎控除額を超えた場合です。

相続税の基礎控除額は、以下の計算式によって求められます。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数(※)

※相続放棄をした者も、法定相続人の数に含める。                                        ※被相続人に実子がいる場合は、法定相続人の数に含める養子は1人まで。                             ※被相続人に実子がいない場合は、法定相続人の数に含める養子は2人まで。

①法定相続人が配偶者のみの場合
法定相続人は1人なので、基礎控除額は3,600万円です。

②法定相続人が配偶者と子ども2人の場合
法定相続人は3人なので、基礎控除額は4,800万円です。

③法定相続人が配偶者と子ども2人であり、配偶者が相続放棄をした場合
相続税の基礎控除額の計算上は、相続放棄をした者も、法定相続人の人数に含めます。
したがって、法定相続人は3人なので、基礎控除額は4,800万円です。

④法定相続人が配偶者・実子1人・養子2人の場合
法律上の法定相続人は4人ですが、被相続人に実子がいるため、相続税の基礎控除額の計算上に当たって、法定相続人の数に含められる養子は1人までです。
したがって、基礎控除額の計算上、法定相続人は3人なので、基礎控除額は4,800万円です。

3.相続税がかからない財産は?

相続税は原則として、相続・遺贈・死因贈与によって取得された財産に対して課税されます。              ただし、以下の財産(非課税財産)については、相続・遺贈・死因贈与によって取得されたものであっても、例外的に相続税が課税されません。

【相続税の非課税財産】                                          ①墓地・墓石・仏壇・仏具・神具などの祭祀(さいし)財産
②公益目的事業に使われることが確実な財産
③心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
④相続によって取得した生命保険金のうち、(500万円×法定相続人の数)以下の部分
⑤相続によって取得した退職手当均等のうち、(500万円×法定相続人の数)以下の部分
⑥個人経営の幼稚園事業に使われていた財産で、一定の要件を満たすもの
⑦相続税の申告期限までに、国・地方公共団体・公益目的事業に対して寄付した財産等

4.相続税がかかる「みなし相続財産」

その一方で、本来の亡くなった方の相続財産に対して相続税がかかりますが、亡くなった後に受け取る財産等であっても相続税がかかる「みなし相続財産」があります。 主な「みなし相続財産」は、死亡退職金や死亡保険金、相続人が被相続人から贈与を受けていた財産などがあります。

<相続税法上のみなし相続財産>
① 死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金
② 被相続人から生前に贈与を受けて、贈与税の納税猶予の特例を受けていた農地、非上場会社の株式や事業用資産
③ 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理残額(死亡日において受贈者が23歳未満であるなど一定の場合を除く)
④  結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理残額
⑤  相続や遺贈で財産を取得した人が取得した、被相続人の死亡前7年以内に被相続人から贈与を受けた財産
⑥  相続時精算課税の適用を受けて、被相続人から生前贈与された財産
⑦  相続人がいなかった場合に、相続財産法人から与えられた財産
⑧ 特別寄与料

5.相続税の納税方法

相続税の納税先は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する税務署です。税務署で直接支払うこともできますが、金融機関の窓口、クレジットカードによる支払いも可能(手数料がかかります)です。相続税は、申告期限内に現金一括払いが原則です。ただし相続人等が納税資金を期限内に用意できない場合は、分割払いで延納することができますが、税務署が認める場合のみで手続きに時間がかかるとの延滞税もかかりますのであまりお勧めできません。物納という方法もありますが近年は物納が認められるケースは少ないです。

相続税は基本的には一括現金納税!! 分割納付や物納は特別な事情がないと認められない。

まとめ

相続税は簡単にいうと「基礎控除」を超える財産に対してかかる税金です。ですので、相続税がかかる財産が「基礎控除」を超えるかどうかが重要になります。

相続税は亡くなってから10か月以内に、相続税の申告と納税が必須になっています。基礎控除を超える場合には、できるだけ早めに税理士に相談をし、納税資金の確保や正確な相続税を把握されることをおすすめします。

相続税の初回無料面談です(すでに相続が発生している方に限ります)。
まずお気軽にお問い合わせください。

088-624-8806




この記事を書いた人

佐々木 梨絵のアバター 佐々木 梨絵 代表社員・税理士

徳島県徳島市出身。
信託銀行に勤めたのち、東京、大阪の大手税理士法人で相続税申告、相続対策コンサルティング、事業承継案件に従事。2024年、SSK税理士法人代表税理士。
資産規模の大きな個人や上場企業オーナーの案件から小規模案件、国際相続案件まで相続税申告の経験が豊富。また、金融機関でのセミナー講師やコラムなどの執筆も手掛ける。

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